2009年10月05日

チッチの赤い首輪(絵本)その20

チッチは.jpg

花ちゃんとの別れがあり、そのあとすぐに引っ越しが始まる。
花ちゃんのことは忙しさが私を助けてくれたように、少しは心が落ち着きだした。

今までより少し広くなった家でおまえたちと田舎暮らしを頑張るのだ。
庭には花を植え、のんびりと日向ぼっこが出来るように庭に椅子を出し、クッションも用意した。
しかし、おまえは小さくなったままなのだ。
食欲もなくなる。
大好きなマグロのおつくりを毎日用意する。
おまえはグルメだから、冷凍のマグロは食べないのだ。
私たちは冷凍でも良いのに、おまえは「これは美味しくないよ〜ちゃんとしたのを出してよ」って顔で砂かけをする。
牛乳も安売りの198円のはダメだ。
おまえは銘柄を読めるのか?って思うほど、いつもこれはダメってダメだしをする。
カリカリもず〜っと手の平に乗せたものしか食べない。
だから、おまえには食器は必要ではないのだ。
そんな我儘なおまえに家族は、下僕のように使えてきた。

今、そんな我儘でもいいから、もっともっと我儘を言ってくれたらなんでも聞いてやるのに・・・

大好きなマグロを小さく、小さく切って手の平にのせ口元にもっていく。
一口、ようやく一口食べる。時間をかけ少しだけ食べる。
それだけで私たちはホッとするのだ。
二日に一回の点滴。
点滴をした後は食欲が出るのだ。
とにかく食べて欲しい・・
おまえはもう、子猫のように軽くなっていた。
目はまんまるでキラキラしている。
目だけがキラキラしているのが不思議だと思う。顔の肉も落ち、あの福与かな姿はどこかにいってしまった。
幼い子になったような目で私を見る。
軽くなったおまえを抱っこして庭を散歩する、おまえは私の腕の中で庭を散歩するのが好きだ。
色んな話をおまえとしながら散歩する。あと何日、おまえとこうして散歩できるのだろうか。

また、点滴の為に病院に出かける。
が、この日は何時もと様子が違う・・車の中でいきなりおもらしをする。おまえがおもらしをするなんて・・今まで一度もそんな事はなかった。おまえは賢いからキャリーもいらない、いつも膝に抱かれて病院に出かけるのだが・・・
私の膝におまえはもらしをしたのだ。
なんとも言えない不安が襲う。

この日のおまえの体温は少し下がっていた。
一番恐れていた事なのだ。体重はもう3キロを切っている。
「チッチちゃんを連れて、車で通うのはストレスがかかると思いますので、今日で点滴はおしまいにしましょうね」
「それって、無駄って事ですか?」
「どちらが良いかって事なんです。少しでもストレスが無い方が良いと思いますよ」
「いつまでですか、一週間ですか?半月ですか?教えてください、覚悟をします」

覚悟なんて、もうとっくに出来ている・・・はずなのに・・覚悟なんて出来ない。
それでも、覚悟をしなくては・・・今、ここで私がうろたえたらおまえが可愛そうだ。しっかりしなくては。
「言いにくいのですが、一週間は無いでしょう」
「じゃ・・・明日かも、明後日かもしれないって事なんですか?」
「体温が下がっています。」

身体の震え止まらない。しかしおまえはキラキラした眼で私を見るのだ。今は泣かない。おまえに泣き顔は見せないのだ。そう思う事でようやく震えが止まる。大丈夫、おまえには私がついているのだから。


  つづく
ラベル: 絵本 イラスト
posted by ムクムク at 22:48| Comment(6) | TrackBack(0) | チッチの赤い首輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
つらいですね。
日増しに弱っていくのを助けてあげられず、なんとも無力で悲しくて、ただただ猫の体をそっとなでてあげたことを私も思い出します。
Posted by ヤーダ at 2009年10月06日 08:08
こう言う事態は避けられないですよね…
そして最もつらい。
じわじわ不安だけが押し寄せて、つらすぎです。
人間より、早く逝ってしまうから、その一緒に居る時間は何にも代えられませんね。
いろんな別れを思い出してしまいました。
Posted by yuz at 2009年10月06日 09:37
私もヤーダさんやyuzさんと一緒で
膝の上で息絶えたハナ
一瞬目を離した時に逝ってしまった姫を
思い出しました。
何度経験しても、別れはいつも悲しすぎますよね・・
Posted by 姫ハックン☆ at 2009年10月06日 14:58
うぇ〜ん・・・。
最後の頃のサスケを見ているようですよ・・・。
おもらし、体温の低下。
体重も3キロを切り・・。
手のひらの上で食べるご飯や、
あれやこれや・・・。
ムクムクさん、頑張りましたね!
一生懸命、看護しましたよね!
Posted by サスケのママ at 2009年10月06日 16:57
私もシャー坊の最後の頃を思い出してしまいました(T-T)
先生から最後の宣告をされた時、
一切の嫌がることを もうやめにしようと思い、そうしました。
ただただ、残された短い時間を少しでも穏やかな気持ちで過ごしてもらいたい、
そう願うだけでした。
そしてチッチちゃんと同じように、どんなにヨロヨロしながらでも
必ずトイレで用を足していたシャー坊がおもらしをしました・・・
愛する者との別れは、口では言い表わせないくらい、辛く悲しいものですね。
そして忘れられないものです。。。




Posted by chibiani at 2009年10月07日 16:47
最後の時が近い、と確実に知らされるのは辛いですね。
哀しくてもまだ泣く訳にはいかないですから。
私も「最後の一瞬まで幸せに送ってやろう」
「最後に見た私の顔は笑顔であるように」
と思って頑張りましたよ。
しんどかったですが。
ムクムクさんもたくさんたくさん頑張ったんですね。
Posted by りき at 2009年10月09日 00:11
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック